以前の調査で、健康のための「走」(ジョギング)に奥義(HIITなどの高強度トレーニング)は不要、との結論に達した。
三強度分類で、運動強度は、
低強度、中強度、高強度に分類されるので、
「走」の強度は低強度か中強度、となる。
では、その比率はどうすれば良いのか。
結論は出ないと諦めかけていたが、そこに一筋の光が差し込んだ。
すべての疑問に答えてくれるような論文を見つけたのだ。
もはや「天啓」(天の神が真理を人間に示すこと)。
本思索では、その論文に基づいて、走の強度について考えていきたい。
「天啓」の紹介
まずは、その論文(以下、感謝の意を込めて天啓と呼ぶ)がどのようなものだったを整理しておく。
- トレーニング強度分布の効果研究(2024)[1]
- 「スコーピングレビュー」という手法を用いて、既存の先行研究を系統的に調査し、結果をまとめた
- 620件もの関連文献から、設定した基準に照らし合わせ信頼できる15件の研究を抽出
- 計412名のさまざまなレベルの健康な持久系アスリートのデータを収集、整理し、トレーニング強度分布が、主要な生理学的な数値やパフォーマンスに及ぼす長期的な影響を分析した。
天啓では、以下の4つのトレーニング強度分布のモデルが示されている。
- ポラライズド・トレーニング(POL)
– 低強度をベースとして、高強度も行い、中強度を極力避け、強度を二極化させるモデル。 - ピラミッド型トレーニング(PYR)
– 低強度を最も多く行い、強度が上がるにつれて段階的にボリュームを減らしていくモデル。 - 乳酸閾値トレーニング(THR)
– 中強度でのトレーニング蓄積を目指すモデル - ブロック・トレーニング(BT)
– 特定の強度を一定期間ごとに集中して実施するモデル
BTを除く各モデルの各強度の比率は以下の表のようになっている。
| モデル | 低強度 | 中強度 | 高強度 |
| POL | 約75~80% | 約5% | 約15~20% |
| PYR | 約70% | 約20% | 約10% |
| THR | 約45~50% | 約45~50% | 10%以下 |
確認された指標は以下。
- 生理学的指標
- 最大酸素摂取量(VO₂ max)
- 有酸素性作業閾値、無酸素性作業閾値における速度またはパワー
- 運動のエコノミー
- パフォーマンス指標
- 競技タイム
そしてアスリートのレベルは以下のように分類されている。
- ティア 0: 座りがちな生活
- ティア 1: レクリエーションレベルの活動
- ティア 2: 訓練された/発達段階
- ティア 3: 高度に訓練された/国内レベル
- ティア 4: エリート/国際レベル
- ティア 5: 世界クラス
そして天啓が示したのは以下であった。
ティア2までは、どのモデルも各指標を向上させるのに有効で、各モデル間の効果の差は無視できるほど小さい。
ただし、ティア3以上(国際、世界レベルなど)では、レベルが上がる程、POLやPYRに優位性が認められたようである(競技タイムに関してはティア3でもモデル間の差はなかった)。
ということで、
競技レベルを目指さない限りは、どのモデルでも問題ないということである。
そして、
どのモデルでもVO₂ maxや有酸素性作業閾値の向上がみられたということは、
健康長寿の観点からもしっかり効果が得られる、と考えられる。
ここで、注目したいモデルはTHRである。
THRは、伝統的なトレーニング法で、
かつては多くの持久系トレーニング研究でこのモデルが標準的に扱われていたようである。
「走」も低強度と中強度を1:1とすると、このTHRとなる。
実際、天啓の中でも高強度を含まないトレーニングモデルもTHRとして扱われている。
よって、走の強度は、
伝統があり、健康目的には効果十分と考えられるTHRモデルを参考に、
低強度と中強度を1:1とすることを基本としようと思う。
そして、
低強度での走を「緩走」
中強度での走を「本走」
と呼ぶことにする。
如何にして、緩走と本走を走り分けるかは、別の思索でまとめようと思う。
しかし、1つ疑問が残る。
低強度、あるいは中強度のみのトレーニングではダメなのだろうか?
なぜ、両者を行うのだろうか。
なんと、天啓はこれにも答えてくれていた。
低強度と中強度の役割
天啓では以下のように説明されている。
- 低強度の役割
- 生理学的適応
- ミトコンドリアの増加
- 遅筋線維の毛細血管密度の増加
- トレーニング上の役割
- 持久力の土台を築きつつ、少ない疲労で総トレーニング量を稼ぐ
- 脂肪燃焼を最大化する
- 生理学的適応
- 中強度の役割
- 生理学的適応
- 糖利用の改善や、乳酸処理能力の向上
- ミトコンドリアの生合成増加
- トレーニング上の役割
- 乳酸閾値付近での持続能力を高める
- 生理学的適応
というように、一部重複する部分もあるが、異なる役割を持つようである。
トレーニング上の役割からは、低強度でトレーニング量を確保しつつ、中強度のトレーニングで「強度 × 量」もある程度稼ぎにいく、「マイルドな極性トレーニング」とも言えるかもしれない。
個人的な体感としても、緩走:本走を1:1とすると、
適度な強度となり、疲労の蓄積を感じることなく継続できている。
結語
今回は、「走」における強度について思索を行った。
得られた結論は以下である。
低強度の走を「緩走」、中強度の走を「本走」とし、その比率は1:1を基本とする。
知りたいことを調べてくれている研究があると、こうも簡単に結論に至れるとは。
走の強度が決まったので、次は、「走の時間」について考えてみるとしよう。
天啓に感謝。




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