走筋道では、毎日トレーニングを行う。
となると、
「体はもつのだろうか?」
という疑問も湧く。
そこで今回は、
「走筋道で、体は壊れないのか?」
という問いに答えてみたいと思う。
もったいぶっていてもしょうがないので結論を述べよう。
筋(筋トレ)のメニューが適切なら累積負荷による故障リスクは低い。
なぜ、そう言えるのか。
トレーニングによる身体への負荷を、
- 筋損傷
- 腱や骨への過負荷
- 関節ストレス
の3つに分類して論文ベースで確認していく。
まずは、筋損傷から。
筋損傷
まず、走(ジョギング)による筋損傷に関してである。
走による筋損傷
明確に、「ジョギングによる筋損傷は、このくらいで回復する」と示した論文は確認できなかった。
しかし、ある程度の運動習慣を持つ若い男性では、
最大酸素摂取量の約70%の40分間の平地走を行っても筋損傷が観察されなかった[1]
とされている。
「最大酸素摂取量の約70%の40分間の平地走」は、
概ね走筋道の「本走」に相当する。
よって、走による筋損傷は、ほとんどないか、あっても極軽度と考えられる。
筋(筋トレ)によるものはどうだろうか?
筋による筋損傷
筋トレによる筋肉への軽微な損傷は48時間以内に回復するとされる[2]。
また、
同じ運動を複数回やると、初回より筋肉が壊れにくくなる
「繰り返し効果」
というものも存在する[2]。
初めて、もしくは久しぶりの運動で、翌日見事な筋肉痛でバキバキになったのに、その後はそこまで筋肉痛にならなくなった、という経験がある方も多いのではないだろうか。
この効果は筋トレのみならず、運動全般に認められるようだ。
走筋道と筋損傷
ここで、筋による筋損傷の回復に2日かかり、走でも負荷がかかった筋は回復に必要な時間が1日伸びる、とやや厳しめに仮定してみる。
走筋道では、日ごとに、筋・甲→走→筋・乙→走→…と行を繰り返す。
したがって、筋肉は、負荷がかかるタイミングによって以下のように分類される(括弧内は、その回復に必要な日数/筋による負荷間の日数)。
①筋のどちらか(2日/4日)
②筋の両方(2日/2日)
③走のみ(2日/2日)
④走+筋のどちらか(4日/4日)
⑤走+筋の両方(6日/4日)
ということで、問題となり得るのは、
⑤の走でも筋のいずれでも使う筋肉のみである。
ランニングでは、
- 下腿三頭筋(ふくらはぎ)
- 大腿四頭筋(太もも前面)
- 臀筋群(おしり)
- ハムストリング(太もも裏)
に特に負荷がかかるとされる[3]。
(この研究のランニングは時速14.26kmの高速でシミュレーション)
よって、
筋の両方でこれらをメインのターゲットとした種目を組み込まないように気をつければ、
走筋道における筋損傷は基本問題にならないと考えられる。
ちなみに私は、2か月強、筋・甲でワイドスクワット、筋・乙でデッドリフトを行っていたのだが、この間ずっと太もも裏が張っていた。
この2種目はハムストリングへの負荷が高く、負荷が過剰となっていたようだ。
(今は、ワイド→フルスクワット、デッドリフト→バックエクステンションと変更し、太ももの張りも解消されている。)
続いて、腱や骨への過負荷について確認していこう。
腱や骨への過負荷
腱や骨への過負荷は、走の「着地の衝撃」による問題である。
走筋道では、走と筋を組み合わせるが、
なんと、筋トレはスポーツによる怪我のリスクを約1/3に減らす[4]
とされている。
よって、走筋道では、ただ走るよりも腱や骨の怪我のリスクは低いものと思われる。
また、
といった研究もある。
ということで、走筋道の
- 2日に1回
- 2回に1回は「緩走」
- 1回最大40分まで
という決まりを守っていればあまり心配はいらなそうである。
ただ、急に気合を入れて長い距離を走るのは避けたほうが良さそうだ。
では最後に、関節ストレスについても確認しておこう。
関節ストレス
走筋道において問題になる関節ストレスは、走による膝関節へのストレスである。
ジョギングを続けると、膝関節の軟骨が徐々にすり減って、そのうち変形性関節症になるのでは…
なんて心配をしていた時期が私にもあったが、これに関しては心配無用のようだ。
合計1万4千人以上を対象とした2023年のシステマティックレビュー[7]で以下のことが示されている。
- ランナーと非ランナーの間でX線上の膝OA有病率やMRI上の軟骨の厚さに有意な差は認められなかった。
- 非ランナー群において、膝の痛みの有病率が有意に高かった。
ということで、膝関節に関してジョギングはどちらかといえばポジティブに作用するようだ。
結語
今回は、走筋道による、
- 筋損傷
- 腱や骨への過負荷
- 関節ストレス
について確認した。
最も気を配るべきは、
「走+筋の両方による同部位への毎日の負荷」ということになる。
だが、走で負荷がかかる、
下腿三頭筋、大腿四頭筋、臀筋群、ハムストリング、
への筋による負荷を調整すれば基本問題なさそうだ。
よって、再度、
「走筋道で体は壊れないのか?」
という問いへの回答を確認しておくと、
筋のメニューが適切なら累積負荷による故障リスクは低い。
となる。
ただ、体の使い方は個人差が大きく、組織の回復には栄養、睡眠といった要素も絡んでくるので、もし身体に不調をきたした際は迷うことなく休養していただきたい。
走と筋の組み合わせは、健康長寿への「攻め」のみならず、怪我をしないという「守り」においても基本問題がないことを確認できた。
走筋道は、思いの外頑丈だ。
参考文献
- Effects of unaccustomed downhill running on muscle damage, oxidative stress, and leukocyte apoptosis (Park KS and Lee MG, 2015)
- Pathophysiology of Exercise-Induced Muscle Damage and Its Structural, Functional, Metabolic, and Clinical Consequences (Stožer A, et al. 2020)
- Muscle contributions to propulsion and support during running (Hamner SR, et al. 2010)
- Strength training as superior, dose-dependent and safe prevention of acute and overuse sports injuries: a systematic review, qualitative analysis and meta-analysis (Lauersen JB, et al. 2018)
- Achilles tendon structure is associated with regular running volume and biomechanics (Jandacka D, et al. 2023)
- How much running is too much? Identifying high-risk running sessions in a 5200-person cohort study (Frandsen JSB, et al. 2025)
- Effects of Running on the Development of Knee Osteoarthritis: An Updated Systematic Review at Short-Term Follow-up (Dhillon J, et al. 2023)


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