毎日トレーニングしていると、
「ストレスが溜まるのではないか?」
「性機能に影響が出るのではないか?」
といった不安も生じ得る。
これらは多くの場合、ホルモンへの影響として語られる問題である。
本思索では、
「走筋道によってホルモンは崩れるか?」という問いに答えたいと思う。
結論は、「基本崩れない」となった。
詳細が気になる方は、続きをご確認いただきたい。
問題となり得る「ホルモン」
ホルモンとは、 心身の機能を調節するために血液中に分泌される物質である。
ホルモンには多くの種類があるが、
運動による影響が心配されるのは主に「コルチゾール」と「テストステロン」の2つ。
なぜかといえば、その他のホルモンは、
- 運動によるネガティブな変化がない
- 変動してもすぐ戻る
のいずれかだからだ。
実際の研究でも、慢性的な悪影響が議論されるのは主にこの2つである。
あと確認しておきたいのは女性の無月経などに関連する「黄体形成ホルモン」である。
まずは、運動による「コルチゾール」と「テストステロン」への影響を確認してみるとしよう。
コルチゾールとテストステロンへの影響
コルチゾールとは?
コルチゾールは、ストレスホルモンとも呼ばれ、その血中濃度は起床後に最も高くなり、その後減少していく。
このコルチゾールが過剰になると、免疫力が低下したり、筋肉が分解されてしまったりする。
テストステロンとは?
テストステロンは、主要な男性ホルモンである。
これが減少すると、以下のような問題が起こる。
- 筋肉量の減少、筋力の低下
- 体脂肪の増加
- 性機能の低下
- その他心身への多くのネガティブな影響
これら2つのホルモンは運動により悪影響を受ける可能性が知られている。
運動によるコルチゾールの上昇とテストステロンの低下
コルチゾールに関しては、以下の研究結果からあまり心配はいらなそうである
- 走
- 30分間の高強度(最大酸素摂取量の約85%)ランニング後の上昇(約150%〜約600%)は約2時間半でベースラインに戻る。[1]
→ 走筋道のジョギング(中強度、30〜40分)ならより影響は少ないと考えられる。
- 30分間の高強度(最大酸素摂取量の約85%)ランニング後の上昇(約150%〜約600%)は約2時間半でベースラインに戻る。[1]
- 筋
ということで、走や筋によりコルチゾールの上昇が蓄積していき、慢性的に高値となってしまう心配は必要なさそうである。
体調不良もなく、運動の成果がみられているのであれば、問題なしと考えて良さそうだ。
そして実は、運動によるテストステロン低下の主なメカニズムは、長時間の高強度運動により上昇したコルチゾールによる拮抗作用とされている。[4]
このため、コルチゾールの上昇が問題にならないのであれば、テストステロンの低下も問題にならないと考えて良さそうである。
ちなみに「長時間の高強度運動」の例は以下とのことであった。[4]
- 10セット × 10レップ (70% 1RM) のフルスクワット
- 20セット × 1レップ (100% 1RM) のフルスクワット
- 85% 1RMの高強度で、主要な10種目(ベンチプレス、レッグプレスなど)を3セットずつ行う90分間のセッション
- 45分以上の高強度(80% VO2 max以上)の有酸素運動
概ねコルチゾールが上昇する運動と一致していることが分かる。
このことからも、走筋道の運動によるコルチゾールやテストステロンへの悪影響は問題にならない可能性が高そうである。
「黄体形成ホルモン」についてもまとめておく。
黄体形成ホルモンへの影響
黄体形成ホルモン(LH)とは、女性においては排卵を引き起こしたり、男性においては先のテストステロンの分泌を促進したりするホルモンである。
そして、
運動量に対して食事摂取が不十分で、利用可能エネルギーが低い(30kcal/kg(除脂肪体重)/日未満)状態が続くと、黄体形成ホルモンの分泌が低下し、女性では無月経、男性でもテストステロンの低下などの影響が出るとされる。[5]
なので、運動による黄体形成ホルモンへの影響は、
毎日続けることによる問題ではなく、運動による消費エネルギーと食事による摂取エネルギーの問題である。
したがって、適切な食事を取っていれば問題にはならないと考えられる。
結語
今回は、走筋道の毎日の走や筋が「ホルモン」に悪影響を及ぼしうるのかを調査してみた。
もう1度結論を確認しておくと、
走筋道の運動でホルモンは基本崩れない。
であった。
ただし、走筋道の範疇を超えた長時間・高強度の運動や低栄養状態での運動はこの限りではないことはご承知おきいただきたい。
走筋道を阻み得る壁がまた1つ消えたことになる。
まだこの道を突き進めそうだ。
参考文献
- Cortisol and Growth Hormone Responses to Exercise at Different Times of Day (Kanaley JA, et al. 2001)
- Time Course of Recovery From Resistance Exercise With Different Set Configurations (Pareja-Blanco F, et al. 2020)
- The salivary testosterone and cortisol response to three loading schemes (Crewther BT, et al. 2008)
- Effect of acute exercise on the dynamics of testosterone levels: a systematic review of randomized controlled trials (Tu Q, et al. 2026)
- The Female Athlete Triad (Weiss Kelly AK, et al. 2016)



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